マイカルハミングバード通信

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「呉れる」の語源

く・る【呉る】/ku・lu
品詞:動詞
<語源>
「呉れる」を表す古い日本語の「呉る」の動詞語幹「く」[ku]は、中国語にある「給」が語源である。

漢音の給と和語の「呉く」は同源語である。


<音の対比>
「呉く」[ku]に語源として対応する、中国語の「給」の中には、次の音がある。
漢音:キュウ[kyuu]

「呉く」と漢音の「給キュウ」[kyuu]は、とても似た音である。

この違いから、「呉く」の中国語原音は漢音と同じ、kyuu音形の給である。


(単語の転訛)
中国語原音の「給キュウ」は、次の音韻法則が働いて、日本語の「呉く」[ku]に変わった。

単母音法則:kyuu>u母音韻尾・y介音脱落>ku


(語形成)
中国語語源の「呉く」語幹は、次の語形成法則が働いて、終止形動詞の「呉る」[ku・lu]になった。
活用語尾法則:ku>る[lu]動詞語尾後接>ku・lu


(まとめ)
日本語の「呉る」は、次の中国語語源が移り変わって、形作った言葉であった。
中国語語源:給「キュウ」[kyuu]>日本語:呉「くる」[kulu]

<意味の対比>
「漢語」の「給」には、次の意味がある。
「あたえる。たまう。」

 

「枯れる」の語源

か・る【枯る】/ka・lu
品詞:動詞
<語源>
「枯れる」を表す古い日本語の「枯る」の動詞語幹「か」[ka]は、中国語にある同字同義語の「枯」が語源である。

漢音の枯と和語の「枯か」は同源語である。


<音の対比>
「枯か」[ka]に語源として対応する、中国語の「枯」の中には、次の音がある。
漢音:コ[ko]

「枯か」と漢音の「枯コ」[ko]は、音がかなり近い。


(音韻対応)
対比した漢音と日本語の間には、次の音韻対応が見て取れる。

a―o対応規則:日本語の[a]母音部に、漢音の[o]韻腹が対応する。


(原音再構)
これらの違いから、中国語の音韻法則で、「枯か」の中国語原音を次の通りに再構できる。

中国語a―o交替法則:枯コ[ko]>再構>カ[*ka]
参考:中国語には、時代差・地域差で、[a]が[o]に交替する法則がある。

枯には、漢音では[o]のところが、[a]で現れる中国語音があった。

「枯」の和訓「か」[ka]は、漢音とは異なる、古い時代の中国語音を伝える音である。

日本語の「枯か」と漢音の「枯コ」は、中国語共通基語「カ」[ka]から分かれた、同じ語源の単語である。

「枯か」の中国語原音は再構した、ka音形の枯である。


(語形成)
中国語語源の「枯か」語幹は、次の語形成法則で、終止形動詞の「枯る」[ka・lu]を形作った。
活用語尾法則:ka>る[lu]動詞語尾後接>ka・lu


(まとめ)
日本語の「枯る」は、次の中国語語源から移り変わって、できた言葉であった。
中国語語源:枯「カ」[ka]>日本語:枯「かる」[kalu]

<意味の対比>
「漢語」の「枯」は、文字通り「かれる」を表す言葉である。

 


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