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二ビル通信

えげつない問題を勝手気ままに取り上げるブログ


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死者の遺族から奨学金を強引に奪おうとする学生支援機構


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息子が死んだら親が払え――独立行政法人日本学生支援機構による非人道的な手口が発覚した。わずかな年金で暮らす釧路市のAさん(80歳)夫妻は昨年3月、日本学生支援機構から265万円の支払いを求める法的手続きを起こされて驚愕した。10年前に病死した息子の「奨学金」だった。支援機構から長年連絡はなく、寝耳に水だった。265万円の内訳は、残元本が107万、それに150万円もの延滞金(年10%)が加算されていた。支援機構には「死亡免除」規程があるが、「手続きがされていない」「延滞した場合は適用できない」などと拒否、全額返せと言い張るばかり。「死ぬまで払っても終わりません。どうすればいいのか」とAさん夫妻は嘆く。むしりとった延滞金は「雑収入」として利益に計上されるだけ。支援機構の悪質さは官製ヤミ金といっても過言ではない。

◇亡くなった息子の「奨学金」を親から取り立て
 釧路市に住むAさん(80歳)夫妻の暮らしを支えているのは月20万円あまりの年金だけだ。北国ゆえに、燃料費や家の修理代、除雪の費用がかさむ。高齢の夫婦ゆえに医者代もかかる。月20万円ではぎりぎりだが、細々ながら平和に過ごしていた。
 その老夫婦の元に日本学生支援機構北海道支部職員を名乗る女性から電話があったのは、2012年秋のことだった。「二百数十万円を払ってほしい」と女性は言った。10年前に亡くなった息子Bさんの“奨学金”の残りだとの説明に夫妻は驚いた。息子が亡くなって以来、日本育英会からも学生支援機構からも、請求はおろか連絡のひとつもなかったからだ。

 Aさんの妻が振り返る。

 「長年連絡がなかったのに突然電話をかけてきて、二百数十万円も払えといわれました。驚いて、何年間もどうしていたんですか、と言いました。そうしたら女性は、グチャグチャになってわかんなくなってしまったんです、と答えたんです。グチャグチャとはどういうことですかと尋ねたら男性に代わりました。その人の口調が乱暴で…怖くなりました。ヤミ金ではないかと思ったくらいです」

 この出来事から数ヶ月が過ぎた昨年3月、「支払督促」と題する書類が釧路簡易裁判所から届いた。支払督促とは債権取り立ての「法的措置」の一種である。封を開けて中の書類を見た夫妻は愕然とした。

 「何これって…恐ろしくて頭パニックになりました」(Aさんの妻)

 265万円を一括で払え――そういう趣旨のことが書かれていたのだ。

 息子・Bさんが亡くなったのは2004年のことだった。あまりにも突然だった。大学卒業後、東京の会社に勤めていたが、すい臓癌に侵されていることが発覚、若さゆえに進行は早く、急逝したのである。日本学生支援機構が取り立ててきた265万円とは、そのBさんが生前に払い切れなかった「奨学金」の「残り」。夫妻はBさんの保証人になっていた。

◇10年間連絡なしで突然一括請求
 息子が亡くなって約10年の間、学生支援機構から連絡も請求はなかったとAさん夫妻はいうのだが、夫妻だけでなく、保証人になっている別の親族のところにも連絡はなされていなかった。支払いが滞れば保証人に連絡するのは当然だから、奇妙な話である。

 じつは、Bさんが亡くなった直後、Aさんの妻は気になって日本育英会の電話にかけたという。だが電話口から聞こえたのは「現在使われておりません」という不通を告げる録音だった。独立行政法人に移行した後で、連絡先が変わっていたのだ。

 以後、音沙汰はなかった。Aさん夫妻は「息子が亡くなったので、払わなくていいような処理がされたのかな」と思っていた。そして時間が経つうちに忘れてしまっていた。息子がいくら払って残元金がどれだけあるのかも知らなかった。

 そんなところへ届いた265万円の支払いを求める「法的措置」だった。うろたえるのは当然だろう。

 265万円の内訳はどうなっているのか。「支払督促」には次のように書いてあった。

 1・主たる請求 金107万6993円(返還期日経過元本合計額)
 2・付帯請求の1 合計157万2157円

 内訳① 金15万399円(利息の合計額)

 ② 金142万1758円(延滞金の合計額)

 3・付帯請求の2 上記1の元本額107万6993円に対する、平成24年12月1日から完済に至るまで、年(356日当り)10%の割合による金員。

 4・金8130円(本件督促手続費用)

 元本は107万円あまり。そこに延滞金142万円、利息15万円が加算されて265万円というわけだ。じつに5割強が延滞金だった。加えて、支払督促には「2012年12月から支払済みまで元本100万円に対する年10%の延滞金を払え」とある。払い終えるまでさらに年間12万円の延滞金が上乗せされるぞ、そう言っているわけだ。

 20万円ほどの年金で暮らしているAさん夫妻に265万円もの金が払えるはずはなかった。無論貯金などない。絶望感に襲われた。


亡くなったBさんの両親のもとに届いた支払督促。貸与額は185万円で、生前Bさんは120万円を払っていた。しかしそのうち40万円が延滞金に消え、元本はまだ107万円残っていた。それに145万円もの延滞金をあらたに加え、総額265万円以上を請求している。
◇生前120万円払って残元金107万円
 困り果てたAさん夫妻がすがったのは、多重債務問題や「奨学金問題」を多数手がけている今瞭美弁護士だった。