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二ビル通信

えげつない問題を勝手気ままに取り上げるブログ


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ゴーストライターの権利はどうなる


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某音楽家の件の影響でしょう、「ゴーストライター」に世間の注目が集まっています。楽曲だけでなく、小説など文筆業の世界でもゴーストライターは存在します。さて、このゴーストライター著作権はどのように考えればいいのでしょうか。アディーレ法律事務所 岩沙好幸弁護士にお話を伺いました。

■名乗り出なければ「依頼者が著作者」ということに!

――そもそもゴーストライターは、著作権法上からはどういう存在になるのでしょうか?

岩沙弁護士 あくまでもゴーストライターが著作物を「創作」した者として「著作者」となります。ただ、その作品をゴーストライターに依頼した者(以下、「依頼者」といいます)が、著作者であると表示されている場合は、著作権法第14条により、依頼者がその作品の著作者であることが推定されるので、依頼者が著作者として扱われてしまいます。

ですので、ゴーストライターは、本人が名乗り出るなどして、真の著作者であることが証明されない限り、裁判上、著作者としては扱われません。

――なるほど。ゴーストライターが表に出ない限りは、依頼者が著作者ということになってしまうのですね。

岩沙弁護士 ただし、ゴーストライターが、自身が著作者であると主張した場合には、依頼者とゴーストライターのどちらが「実質的にその作品を創作したといえるか」で著作者が判断されます。

誤字、脱字の修正や、大まかなコンセプトを伝えるだけなど、依頼した側の創作への関与が希薄な場合、著作権法第14条の推定は覆り、法律上、ゴーストライターが著作者であると判断されるでしょう。

■実はゴーストライター契約もグレー!?

――例えば、後になってその楽曲なり原稿なりが、ゴーストライターの手によるものだと発覚した場合、その著作権ゴーストライターに帰属することになるのでしょうか?

岩沙弁護士 まず著作者の権利には、「著作者人格権」といって、その作品の作者として氏名を表示する権利などの人格的な権利、「狭義の著作権」といって、作品を使用することで収益等を上げる財産的な権利、の二つの側面があります。

ここで、ゴーストライター契約について考えてみましょう。

ゴーストライター契約とは、

(1)依頼者がゴーストライターに対価を支払うことにより、
(2)ゴーストライターから依頼者に対し、「狭義の著作権」を譲渡するとともに、
(3)ゴーストライターに「氏名表示しないこと」を約束させる契約

をいうものと考えます。

しかし、(2)の「狭義の著作権」については法律上譲渡が可能ですが、(3)「著作者人格権」については、「著作者の一身に専属するもの」であり、「譲渡することができない」とされています。

――著作者人格権は譲渡できないのですね。

岩沙弁護士 はい。そこが重要です。つまり、ゴーストライター契約を結んでいたとしても、ゴーストライターは、「その作品の著作者として自らの名前を表示する」という「著作者としての権利」を有したままになるのです。

さらに、そもそも、このゴーストライター契約が有効であるかどうかも疑問が残ります。

――契約自体にも問題があるのですか?

岩沙弁護士 一般的には、当事者間で合意ができれば、その内容で「契約」が成立します。しかし、その内容が公序良俗に反する場合には、契約は無効となります。

ゴーストライター契約については、「公序良俗に反し、無効である」と判断している裁判例も存在します。ゴーストライター契約が無効となった場合、狭義の著作権についても、ゴーストライターに帰属していると判断される可能性があります。



「命を惜しむな。名を惜しめ。」 ~著作者人格権とクリエイターの“名誉”

 「18歳からの著作権入門」連載。やたらと勇ましい今回のタイトルですが、これは「保元物語」の中の源親治という武将の台詞。「武士(もののふ)たるもの、命を捨てても名誉は守れ!」と、戦場で一族に突撃を命じた際の言葉です。来ますね、侍スピリッツに。

 さて、この名誉、もう少し広げて言えば各自の人格。著作権の世界でも時にお金より大事らしく、今日はそのお話。

著作者に残される最後の権利

 第5回で、「著作権は自由に譲渡できる」と書きましたね。譲渡すると、以後は相手が「著作権者」になって、作品を複製したり公衆送信したりする許可は以後、著作権者が出すのでした。譲渡したクリエイターはその後も「著作者」ではありますが、もう自分の作品といえども自由には使えなくなるのが原則です。

 では、著作者は作品について全く無権利になるかといえば、実は権利は残ります。「著作者人格権」といって、創り手としての最低限の人格的な権利は、何があってもクリエイターに残るのです。狭い意味での著作権とは別の権利なのですが、どんな内容かというと次の3つ(4つ)です。


 まず「公表権」とは、未公表の作品をいつ公表するか決定することができる権利です。「公表」というのは著作権ではよく登場する言葉で、たとえば第9回・第10回で紹介した「引用」や「非営利の上演・演奏」も公表作品だけが対象で許されるのですね。そして作品を公表するかどうかを決めるのは著作者なのです。

 たとえば手紙です。手紙はたいてい送った人の著作物ですが、貰った側はしばしば自分のものだと思うのですね。それで自分の書籍の中で引用したり人に提供して引用を許したりします。これは無断公表ですので、送り手の(プライバシーの侵害でもあるかもしれませんが)公表権の侵害です。

 ちなみに、著作者人格権ではなく手紙の「著作権」の方は誰にあるかといえば、物としての手紙の所有権は貰った人にあるでしょうが、著作権はやはり送った側にあります。手紙を送ったくらいで、著作権の譲渡とはみなされないのですね。ですから、手紙の文章を書籍に掲載すれば、著作権の侵害にもなります。こちらは引用なら許されそうですが、先ほど書いた通り未公表作品は引用できません。つまり、手紙の引用は著作者人格権の侵害でもあるし、多分著作権の侵害でもあるのですね。

 では、故人の手紙ならどうか?実は、クリエイターの死後でも、著作者人格権にあたるような行為は禁じられています。ただ、この保護は時間の経過などで弱まると考えられていますので、死後十分な時間が経過し手紙が歴史的資料と言えるような時期になれば、公表しても問題は小さいでしょう。

著者には「クレジット表記」を求める権利がある

 次いで、「氏名表示権」とは、「私は確かにあなたに著作権を譲渡しました。しかし、あくまで私の作品ですからあなたの名前で出版したりするのは止めて下さい。私の名前を出して利用してください」と言える権利です。つまりクレジットを求める権利です。

 いわば名誉。これは多くのコンテンツの現場ではとても大切なもので、たとえばハリウッドで作品が映画化されたり、映画に出演する際の契約では、映画の画面や広告のどの位置に、どんなサイズ・順番でどんな名称を記載するのか、極めて細かく規定されるし、タフな交渉が繰り広げられます。

 こうした“序列”への強烈なこだわりは、洋の東西を問いません。契約書こそ簡単ですが、日本でも名前の順番とかポスターでの写真の大小とか、左右どっちが偉いとか、顔だけならあっちが大きいけどこっちは全身が写ってるとか、順番が下の代わりに「特別出演」とか「友情出演」とか「特別友情出演」とか、まあ他人から見たらどうでも良さそうなクレジットをめぐる激闘の後は作品の随所に残っています。これは本人の名誉感情だけでなく、位置取りや露出のしかたが今後の仕事に影響すると思っての部分も大きいでしょう。

 芸能界に限らず、「名前の出しかた」をめぐる行き違いは社会の随所に見られます。あの本は明らかに俺の本を参考にした癖に参考文献に載せてないとか、出し方が足りないとか、こういう恨みは深い。あの人は肝心な挨拶で私の名前を出さなかったとか、やっぱり気になりますよね。私たちは、業の深い生き物です。実際、著作権に関するトラブルの少なからぬものは、「あそこで一言名前を出して感謝していれば起きなかったんだろうな」と思える事件だったりします。

 さて、この氏名表示権、作品の利用に際して著作者は「私の名前を出して下さい」とも言えるし、逆に「匿名が良いので、私の名前は出さないで下さい」とも言えます。たとえば「ふたりでひとりの藤子不二雄にして下さい」とペンネームの指定もできます。また、「今後は、藤子・F・不二雄にして下さい」と途中で指定を変えることも、基本的には出来ます。


ゴーストライターは悪いことか?

 「名前を出さない」といえば、ゴーストライターという存在がありますね。記憶に新しいところでは、「現代のベートーヴェン」こと佐村河内守氏の事件です。全聾の障害を克服して作曲したという「交響曲《HIROSHIMA》」が大ヒットした矢先、桐朋学園大の講師だった新垣隆氏が週刊文春の記事で「18年来ゴーストライターだった」と名乗り出て、大騒ぎになりました。本人も大筋でゴーストライターの事実は認め、謝罪した事件です。

 ゴーストライターという存在じたいに脚光があたり、「本人が書かないなんてとんでもない」という意見から、主に業界筋の「佐村河内氏の件は悪質だが、ゴースト自体は当たり前の存在であって、要は成果物が良ければいいのだ」という意見まで、さまざまな論争を招きました。

 このゴーストライターを使う際には、口頭あるいは文書での「ゴーストライター契約」が交わされます。(当事者は必ずしも「契約」とは思っていないでしょうが、口頭でも確たる依頼と引き受けがあれば立派な契約です。)これはどういうものかというと、(1)肝心の、誰の名前で作品を公表するかという「著作名義」の合意、(2)ゴーストライターから「依頼者」への著作権の譲渡や独占的な許諾の合意、(3)支払条件、などからなります。

 名前を出さなくて良いというのだから、(1)は、一見すると著作者人格権(氏名表示権)の放棄のようにも見えますね。これは出来るのでしょうか。著作者人格権は、著者の最低限・最後の権利ですから、人に譲渡することも、放棄することも出来ないと考えられています。

 そんなこともあって、またゴーストライター契約というものは世を欺く怪しからんものなので、「無効」だという見解も有力です。実際、そういう判決が出たこともあります。

 ただ、著作者人格権の放棄は出来ないけれども、「この件では人格権は行使しないよ。僕の名前を出してとは言わないよ」という、「不行使の約束」は有効だという見解が有力です。実際、どんな名前で公表するか決められるのが氏名表示権なのだから、「名前を出さない」ことを著者が合意するのも自由といえます。(別な見方をすれば、ゴーストライターの場合、名前を出さないという形で氏名表示権を行使している、とも言えるかもしれません。)

 そのため、ゴーストライター契約を一律で無効というべきかは、疑問もあります。また、そもそもゴーストという存在については擁護論もあります。たとえば、スポーツ選手やタレントが本を出す時にはライターさんがついて「聞き書き」をしたり、本人への取材に基づいて事実上代筆したりすることは少なくありません。典型的なゴーストライターの一種といえるでしょう。

 しかし、そうしたライターがいても、ファンの期待をそれ程裏切ってはいないのではないか、という指摘もあるのですね。多くのファンは、本が自分の好きなタレントの思いやエピソードをおもしろく率直に綴ったものであれば、実際にペンを動かしたのがライターだとしてもそんなに不満は抱かないように思えるからです。

 そもそも、さまざまな創作現場でのアシスタントや編集者的な存在が、創作の相当な部分までサポートすることは珍しくありません。「名前の出ない創り手」は無数にいて、それを全て悪いものだとする考え方は極端でしょう。

 ただし、佐村河内氏の事件については、擁護論はあまりありませんでした。というのも、「全聾の彼が自ら曲を編み出した」という、いわばサイドストーリー“込み”で多くの方はCDを買い、コンサートに通い、そして感動していたからです。つまり、購入動機の核の部分で購買者を騙しており、これでは悪質で詐欺的と言われてもしかたがないでしょう。

 つまり、「そうと知っていたら買わなかった」と言われるようでは、ゴーストライターはさすがに擁護しようがなくなるのです。

 命を惜しむな。名を惜しめ――。著作者人格権とクレジットは、クリエイターの誇り、ビジネスの実利、そしてファンの期待という3つの要素が絡み合った、なかなか「大人な」法律分野なのです。



著作者人格権を行使しない』と言う規約の場合、実績として個人のHP等にUPする事は可能でしょうか?

自分でもググって調べたのですが、自信がなく、皆さんの知恵をお借りしたいと思い、投稿します。
よくコンペサイト等の利用規約に、「著作者人格権を行使しない」とあります。
著作権】が譲渡出来て、【著作者人格権】は譲渡出来ないが行使しない事として契約出来る、とまでは調べて理解したのですが、例えばイラストやデザインを制作し、クライアント側に「著作権を譲渡し、著作者人格権を行使しない」に契約した場合、個人のHP等に実績としてアップする事は出来るのでしょうか?

私の解釈としては、「著作権はクライアント側に渡り、著作者人格権は制作者にあるが、基本的には何も文句は言いませんよ。製作者の実績として個人のHPやブログにアップする事は許される」と思うですが間違っていますでしょうか?


乱文、解りづらい説明ですみません。。

どなたがお解りになる方、宜しくお願い致します<(_ _)>



因みに、とあるコンペサイトに似た質問をしたところ、
『当選した提案については、事前にクライアントへ確認し、了承があった場合は実績としてHPに掲載したりは可能』
と回答がありました。


著作者人格権は「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」の3つ(名誉声望保持権もみなし侵害規定を元にあります)がどれのことですか?

ブログにアップすることは主に著作権の問題ですが。未公表であれば「公表権」に絡みますが。




業務で制作したデザインの著作権は会社のもの?社員のもの?~職務著作にまつわる話

新しく雇用したアルバイトのデザイン力で業績は大幅に改善!


街の印刷会社「イノベーション印刷」を経営するA社長。先代から数えて50年も事業を続けていますが、ネット印刷会社の攻勢に押されて、ここ数年はまさに青色吐息の経営です。30年もチラシの印刷の注文を受けてきたスーパーからの取引中止の電話を受け、A社長は大きく肩を落としました。
A社長 「インターネットなんて発明されなければ良かったんだ!」
そうつぶやいたA社長は、デスクの上のパソコンを叩いて、窓から遠くを見つめました。

しかし、そんなA社長に新たな希望の光が射してきました。長年勤務したアルバイトのデザイナーが突然辞めてしまったため、若者のデザイナーBさんを新しく雇用したところ、そのデザイン力の高さが評判になり、新しい取引先が徐々に増えてきたのです。

A社長 「Bくん、君のデザインはすごいねー!お客様も大手の広告代理店を通して印刷の注文をしているようだと大喜びだよ。」
Bさん 「(流し目で)恐縮です。ところで社長、うちもインターネットで受注を取ってみませんか?僕は企業ロゴのデザインが得意なので、きれいなWEBサイトを作れば、結構受注があると思うんです。ロゴの受注と一緒に、封筒や名刺、会社案内の印刷もまとめて注文を受けちゃいましょう!」

A社長がBさんの言うとおりに新しいWEBサイトを作ると、Bさんの洗練されたロゴデザインが注目を集め、日本全国から注文が殺到しました。
「いやぁー、インターネットはすばらしい発明だねー!!」と、興奮しながら毎日忙しく働くA社長。しかし、間もなくなんと希望の星のBさんが突然退職願を出して会社を辞めていってしまったのです。

独立したデザイナーが在職中のデザイン実績をホームページに掲載


A社長はショックを受けながらも、日々殺到する受注をさばくべく、腕利きの新しいデザイナーを迎え入れ、なんとか業績を落とさずに踏みとどまりました。
しかし、ある日、A社長がインターネットでライバル企業のWEBサイトをチェックしていると、なんとBさんが独立して会社を設立し、WEBサイトを作って企業ロゴデザインの注文を受けているではありませんか。しかも、そのWEBサイトには、Bさんの実績として、Bさんがイノベーション印刷に勤めているときにデザインした企業ロゴも掲載されています。

怒ったA社長は、すぐにBさんの会社に電話をかけました。
A社長 「Bくん、久しぶりだな・・・!」
Bさん 「あっ、A社長。。。」
A社長 「うちの会社で作った企業ロゴを勝手に君の会社のWEBサイトに掲載しているけれど、そういうのを著作権侵害っていうんだよ。」
Bさん 「何を言ってるんですか!あの企業ロゴはすべて僕がデザインしたんです!著作権は僕にあります!」
A社長 「君はうちの会社の業務としてデザインしたんじゃないか!そのためのアルバイト代だって払っていたよ!」




著作権は実際に創作したデザイナーに帰属するのが原則です


さて、A社長から怒りの抗議を受けたBさんですが、それではBさんがイノベーション印刷時代にデザインした企業ロゴの著作権は、いったい誰のものなのでしょうか?

著作権は著作者に原始的に帰属し、著作者は著作物を創作する者となります。そして著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの・・・」と定義されています。つまり、その著作物を具体的に表現した人が著作者であって著作権者となり、その創作のためにアイデアを出しただけの人や、お金を出しただけの人は著作者とはなりません。これが原則です。

ということは、Bさんがイノベーション印刷在職時にデザインした企業ロゴの著作者は、会社ではなく、実際に手を動かして企業ロゴを表現したBさんであり、Bさんが著作権者ということになりそうです。
しかし、これではA社長は納得がいきません。企業ロゴを実際に制作したのはBさんであっても、会社はBさんにアルバイト代を払っていますし、企業ロゴデザインの注文を受けるためには、WEB制作費など多くの宣伝費を負担しています。
また、もしBさんが企業ロゴの著作権者となってしまったら、会社は、お客様からの注文を受けて、名刺、封筒、パンフレットなどにその企業ロゴを印刷する場合でも、いちいちBさんの許諾が必要になってしまいます。これでは営業的にも業務的にも大きな支障が出て困ってしまいます。

会社の業務で創作した場合は原則会社に著作権が帰属することになります!


そこで、法律では「職務著作」という制度を規定しています。おおまかな言い方にはなりますが、会社の従業員が会社の業務として著作物を創作し、その著作物を会社の成果として発表した場合には、その著作者は会社となり、すべての著作権は原始的に会社に帰属することとなるのです。ただし、会社の勤務規則や雇用契約書などで、「職務著作に該当する場合でも著作者は従業員になります」のような規定を設けることは自由です。しかし、こういう規定をわざわざ設けている会社は、ごく稀といえるでしょう。

この「従業員(従業者)」には、正社員、契約社員、パート社員、アルバイト、役員など実質的な雇用関係にある人をすべて含みます。ということで、アルバイトとして働いていたBさんが、業務として制作していた企業ロゴについては、職務著作が成立し、イノベーション印刷がその企業ロゴの著作者、著作権者となるのです。

A社長は、著作権に詳しい知り合いの行政書士からこのことを教えてもらうと、その行政書士著作権侵害の警告書を作成してもらい、Bさんに内容証明郵便で送りました。Bさんはやむなく自分の会社のホームページからイノベーション印刷在職時にデザインした企業ロゴをすべて削除し、A社長にお詫びしました。



企業とのお仕事では「著作者」は誰になるの?

みなさん こんにちは。弁護士の長谷川千代です。
編集部ブログにも書いたのですが、先日十月花形歌舞伎「GOEMON」を観に行ってきました。そして、せっかくならばと歌舞伎の石川五右衛門の「絶景かな 絶景かな」というシーンで有名な南禅寺三門まで足を伸ばし、絶景かな~って言ってきました(笑)。紅葉も少し始まっていてきれいでしたよ。

さて、今月は「職務著作」についてです。

フリーランスは会社に所属していないのだから職務著作は関係ないんじゃないの?って思われるかもしれません。しかし、場合によっては職務著作の規定の適用がある場合も考えられますので注意しましょう。

まずは条文を見てみましょう。著作権法15条は以下のように定めています。

1.法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2.法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
この条文によれば、職務著作にあたる場合は、法人等が著作者となることになります。著作者が法人等ということになれば、著作権だけでなく著作者人格権も法人等に帰属することになります。

この条文から導かれる要件は、

①法人等(法人その他使用者のことをいいます。)の発意に基づき
②法人等の業務に従事する者が
③職務上作成する著作物であること
④法人等の名義で公表されること(プログラムの著作物の場合はこの要件はありません)
⑤作成時に別段の定めがないこと
の5つになります。

この中で、②の要件にあたるか否かがフリーランスでも職務著作の適用があるかいなかの分かれ目となってきます。法人等と雇用契約がない人も②にあたるかについて見解は分かれているのですが、最高裁判所は平成15年4月11日の判決で、以下の基準に従って判断しています。

(ⅰ)法人等の指揮監督下において労務を提供するという実態があるか、
(ⅱ)法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合考慮
これらの基準は、場合によってはフリーランスにもあてはまると思います。あてはまる場合は、上記の①、③、④、⑤の要件も満たす場合は、職務著作と言われうるのです。

著作者をフリーランスの方ご自身にするためには、著作者は自分であるという契約をしておくことで⑤の「別段の定め」になりますので、契約書にその旨を入れて争いを予防しておくようにしましょう。