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二ビル通信

えげつない問題を勝手気ままに取り上げるブログ


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小が大に勝つ思想【中国からの外来思想】


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小が大に勝つ思想【中国からの外来思想】


「小が大に勝つ」真田の兵法に何を学ぶか
『真田三代 弱者の戦略』著者 福永雅文氏インタビュー

ランチェスターの法則で読み解く 真田三代 弱者の戦略』を上梓した福永雅文氏は、ランチェスター戦略の専門家として企業コンサルティングに力を注いできた。一方で歴史研究家としても知られ、「歴史に学ぶ経営戦略」についての執筆・講演も精力的にこなす。その福永氏に、なぜいま真田なのか、そして歴史を学び、人生やビジネスに活かす意義はどこにあるのかを聞いた。(聞き手・日本実業出版社編集部)
真田の戦いには、閉塞感を打ち破るヒントがある

──ご執筆の動機でもあると思いますが、なぜいま、真田氏に着目すべきと考えられたのでしょう。

福永雅文氏
福永雅文氏「“小が大に勝つ”ことの重要性はますます高まっている」
私は「小が大に勝つ」とは何か、そのために「小」は何をなすべきかということをずっと追求してきました。いま、企業を取り巻く環境を見てみるとグローバリゼーションが進み、大企業によるM&Aなど、ますます「大」が有利になる状況にある。個人対企業という枠で考えても、個人が企業にないがしろにされる傾向は、全体として強まっているといえるでしょう。

こういう閉塞感の漂う時代のなかで、「小が大に勝つ」ことの重要性はますます高まっています。小さな会社や個々人がいかに生き残っていくのかを考えるうえでも大事ですし、その閉塞感を突き抜けていく突破口のヒントになれば、という思いがあります。

典型と申しますか、真田氏ほど「小が大に勝つ」ということにおいてめざましい成果を上げ、光り輝いた人たちは歴史上そう多くはないと思うんです。世の中で真田への関心が高まり出すこのタイミングで出版する意義は大きいと考えました。

──歴史をビジネスに活かしたり、個人が生きるうえでの糧にするには、どのようなスタンスが必要でしょうか。

私自身、幼い頃から、「小が大に勝つ」ところに歴史の醍醐味を感じ、長じてからは「戦略」の醍醐味もそこにあったことに気づいて、いまでは「ランチェスター戦略」という戦争理論を原点とした競争戦略の専門家として活動しています。

近年は専門分野と関連しながら、それとは別建てで本を書かせていただいたり、講演などもさせていただいています。こちらはいわば私のライフワークです。

歴史は、単なる懐古主義や教養としてのみ身につけるものでもなく、いまを生きる私たちにとって、未来を切り拓いていくヒントの宝庫であると思います。ヒントとするために押さえておくべきポイントは大きく2つあると思っています。

1つは、大河のごとき歴史の大きな流れのなかに、いまを生きる私たちも位置づけられているわけですから、歴史の流れの変遷をつかんでおくことが非常に大事です。

ランチェスターの法則」で読み解く真田の戦略

もう1つは、歴史の流れを縦軸とするなら、横軸として、その時代時代を生きた人々の生きざま、生き方、考え方、行為・行動というものがある。いわば物語ですね。一説に、英語のstory(物語)は、history(歴史)のもとの言葉であるラテン語のヒストリア(historia)からきているそうです。

大きな歴史の流れと、流れに翻弄されながらも、己を見失わずに生きていった人々の物語。その2つを学ぶことが、いまを生きる私たちにとって重要なヒントになると思います。その点から考えても真田氏はお手本といえます。

──最後に、本書の読みどころと特徴をお聞かせください。

本書では、真田氏の戦いのみにフォーカスして、「小が大に勝つ」戦いの本質を、真田の兵法から導き出しています。戦いを評価する判断基準として、私の専門分野である「ランチェスターの法則」を軸に「孫子の兵法」も用いました。真田の戦いぶりを描きつつ、「小が大に勝つ」原則に基づいて評価していきます。「ランチェスターの法則」に関する、私の最近の研究成果も盛り込んでいますので、ランチェスター戦略や戦術・戦略論に興味のある方にもお役に立てると思います。

幸隆、昌幸、信之と、文中では幸村と表記しましたが、信繁までの真田氏三代四将は、信長、秀吉、家康という三英傑が天下を統一していく流れのなかで、好むと好まざるとに関わらず、統一の「抵抗勢力」の側に属してしまいました。大波をかぶる不利な条件に置かれていた真田氏は「大」を打ち破り、あるいは勝てないまでも負けることなく、一泡も二泡も吹かせました。

逆境を跳ね返した真田氏の戦いを通して、読者の皆さんに勇気やエネルギーが少しでも湧いてくるとしたら、書き手としてこれにまさる喜びはありません。



3分でわかる『孫子
「敵の意表をついて小が大に勝つ」
今さら知らないとは言えない「逆転戦略」

孫子からクリステンセンまで、3000年に及ぶ古今東西の戦略エッセンスをまとめた書籍『戦略の教室』から、特に有名な10の戦略を紹介する連載。今さら知らないとは言えない有名戦略をこの機会に一気に学ぼう。第1回はビル・ゲイツ孫正義をはじめ、世界中で愛読される最高の戦略教科書『孫子』。

なぜ、3万の呉軍は20万の楚軍に勝てたのか?

2500年前に出現した、一人の天才軍略家

?最強の「戦略書」といえば『孫子』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ビル・ゲイツ孫正義松下幸之助など著名人が愛読したことでも有名な書です。

?古代中国、紀元前500年ごろに「呉」と呼ばれた国がありました。呉国で重職だった伍子胥(ごししょ)という人物の推挙で、孫武は呉の将軍となったのです。

孫子』は、戦争指導に活躍した孫武が書いた、全13編の戦争戦略を記した書籍です。紀元前506年には隣国の楚と戦争を行い、孫武の見事な陽動作戦で数倍の敵に勝利。さらに進撃して5戦5勝、たった10日で楚の首都を陥落させてしまいます。

?孫武が呉にいるあいだ、呉は周辺諸国ににらみをきかせる強国であり続けました。最強の戦略書である『孫子』は、現代の私たちにどんな示唆を与えてくれるのか。2500年前に出現した、一人の天才軍略家の思想を分析してみましょう。

現代ビジネスに通底する「兵は詭道」という基本思想

孫子』の第一編(始計)では、次のように書かれています。

「戦術の要諦は、敵をあざむくことである。たとえば、できるのにできないふりをし、必要なものを不要とみせかける。遠ざかるとみせかけて近づき、近づくとみせて遠ざかる。有利とみせて誘い出し、混乱させて撃破する。(中略)敵の弱味につけこみ、敵の意表を衝く。これが戦術の要諦である」(村山孚訳『中国の思想 孫子呉子』より)

?孫武は、強国の楚の戦力を削ぐため、国境に何度もニセの奇襲を行います。驚いた楚軍が駆けつけると退却する作戦を数年も繰り返したのです。楚の軍隊はこの陽動作戦ですっかり疲弊しました。

?その上、決戦の際には楚軍が防備を固めた陣地に突撃すると見せて、孫武は素通りし、楚の首都に向かうという情報を流します。予想外のことに慌てて追いかけた楚軍は、決戦の場所に到着したときは疲労困憊で、軍勢の少ない呉軍にさんざんに負けました。

?楚軍20万人に対して、呉軍は3万人で勝つ、劇的な勝利を収めたのです。


孫武の戦略、二つの重要ポイントとは何か?

孫子』の「始計編」や実際の戦いから、彼の戦略は二つの大きなポイントを持っていることがわかります。

(1)張り合うことで敵が疲弊するポイントを攻める

?おとりの作戦とも知らず、楚軍は何度も出撃を繰り返し疲弊しました。相手が張り合おうとすると、途端に疲弊する要素を攻めることが孫武の戦いのポイントになっています。

(2)相手の強みとは違う場所で勝負する

?楚軍は決戦の場所と考えたところからおびき出され、孫武の呉軍が準備万端で待ち受ける戦場に移動せざるをえませんでした。

?二つのポイントは相互に関連し、同時に行われると敵は手も足も出ません。近年、飲食業界で大きな話題の人気店「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」は、孫子の戦略と重なるビジネスの典型例です。

?中古書籍販売のブックオフ創業者、坂本孝氏によるこのレストランは、他の飲食店がマネしたくてもできない、張り合えば必ず疲弊するモデルとなっています。

「一流の料理人が、一流の食材を使い、しかも低価格」。一般的な飲食業の原価率30%を大きく超えて、原価率60%で食材を提供しています。

?なぜこれが可能なのか。立ち飲みスタイルの採用で、テーブルの回転率を高めているからです。同じ床面積で座席数は2倍、一日の回転率は3倍近くとなり、食材の原価率を2倍にしても採算が合うのです。

?しかも料理するシェフは、高級ホテルで修業した一流の職人たち。高級店は、これほどの回転率はありえないので、原価率で対抗すると赤字になり、張り合うなら疲弊せざるをえません。

?また、フレンチレストランにもかかわらず「リーズナブルでおいしい」という強みは、高級フレンチの「雰囲気がいい」「特別な会食」という強みとは明らかに違う場所で勝負しています。肩が触れ合うようなスペースで、立ちながら食事を楽しむのですから。

?同様な仕組みに、品質を重視する業界にスピードで勝負をかけ、受注率と利益率を同時に高める攻め方もあります。

?住宅関連など、見積りに数日から一週間かかる商品に、ネット専門の返信部隊を配置し、24時間以内に概算見積りを出す企業があります。他社は「品質や丁寧な対応」が勝負と考えているので対抗できず、このスピードでは古い体制の営業部隊は疲弊するだけです。

?初回のメール返信が別部隊のため、以降を担当する営業マンの負担が軽くなり、複数案件の担当を容易にしています。見積りが一番早く届くことで受注率を高め、担当者が多数の案件を管理できることで、利益率も上げることができています。

?張り合うと疲弊するポイントを攻める。相手の強みとは違う場所で勝負する。敵にしてみれば「最もイヤな攻撃」です。戦略の始祖とも呼べる孫武の手法は、相手のある競争を前提とした戦略として、えげつないながらも極めて効果的だといえるでしょう。

「小が大に勝つ」には、大が反撃を躊躇する手段が小に不可欠です。相手ものんびりこちらの活動を眺めるだけではないからです。大は元気な小が伸びることを阻止すべく必ず動きます。「小が大に勝つ」には、孫子の二つの戦略が極めて重要になるのです。


戦争の歴史から生まれた冷徹な原理原則

孫子』は戦争、民族や国家の存亡を賭けた戦闘に勝つことを目的に書かれていることで、極めて冷徹かつ、徹底したリアリズムを持っています。ここでは、『孫子』の中でも特に有名な指摘を4つ抜き出しておきます。

(1)「目的は勝利であって戦いではない」

?戦争は勝つことが目的であって、戦うことが目的ではない。勝利しても、当初の目的が達成できなければ結果は失敗だと指摘しています。手段に溺れ、大切な目的を忘れてはいけないのです。

(2)「百戦百勝するは善の善なるものにあらず」

?100回勝ったとしても、それは最上の勝利ではなく、戦わずして相手を屈服させることこそ、最上の勝利です。戦上手は、武力に訴えることなく敵軍を屈服させ、城を攻めることなく陥れ、長期戦を行わずに敵国を滅ぼすのです。

(3)「敵を知り己を知れば百戦危うからず」

?敵を知り己を知れば、絶対に負ける心配はなく、己を知って敵を知らなければ、勝敗の確率は五分と五分。敵を知らず己も知らなければ、戦うたびに危険な目にあうのです。

(4)「まず勝ちてのち戦う」

?本当の戦上手は、まず勝ちうる条件をつくり、自然に勝つ。確実な方法で勝ち、打つ手打つ手がすべて勝利に通じる。勝敗は、まず勝利の条件を整えてから戦争を始めるか、まず戦争を始めてから勝利をつかもうとするかが分かれ道。勝利を収めるのは常に前者なのです。

相手が一番嫌がる戦略を選び、会戦の前に勝利を決める

?孫武は2500年前に、勝者と敗者の違いを観察し続け、両者の違いをその書に残しました。現代ビジネスマンは「戦争の火攻め」の方法を学ぶことはなくても、孫武の観察眼が解明した「勝者と敗者の違いによる、勝負の基本原理」の発想を学べます。

?張り合うと相手が疲弊する勝負を仕掛けるなら、相手はこちらの攻撃を、指をくわえて見ているしかありません。相手の強みと違う要素で勝負することは、相手の強みを無効化することです。さらに、戦いを始めてから考えるのではなく、勝つための仕組みの準備は、すべて勝負を始める前に完了することを孫武は常に強調しています。

?敗北すれば国家が亡ぶ古代中国の戦略には、勝利への純粋な冷酷さと執念があります。二つのポイントを軸に、相手が「手も足も出ない」状態で完勝する。やみくもに勝負を始めず、完璧に勝つ状態をつくり上げてから作戦を開始する。孫武の指摘は2500年を経ても、いまだ輝きと示唆を失っておらず、時代を超えた「最強の戦略書」に相応しい提言がなされているといえるでしょう。


兵法三十六計「小が大に勝つケンカの仕方」

中国の兵法書といえば『孫子』の評価がずば抜けて高いが、今回から取り上げる『三十六計』も、それに引けを取らない。

成立は比較的新しく、清王朝の頃だといわれている。それまで中国が長い歴史のなかで培ってきた謀略を、36種類にまとめ、解説を施したものだ。

現代中国でも本書は人気が高く、現地の書店に行くと、一般向けの解説書や応用書が何冊も並んでいる。

また、筆者は以前、中国でビジネスをしている日本人から、「ここで商売するなら、絶対に『三十六計』を読んでおいた方がいいよ。そうしないと騙されかねないからね」と強調された経験もある。

みずから謀略を使う、使わないにかかわらず、自分の身を守りたければ、その内容はぜひとも知っておくべきなのだ。

第一回目で、まず取り上げるのは「囲魏救趙(いぎきゅうちょう)」。これは、次のような歴史的な故事がきっかけで生まれた。

戦国時代、魏という国の将軍・●涓(ほうけん)が趙の都である邯鄲(かんたん)を攻撃した。魏軍の猛攻に、たまらず趙は斉という国に救援を依頼する。斉はこれに応じて、救援軍の将軍に田忌(でんき)、軍師には孫◎(そんぴん)という人物を任命した。孫◎は、『孫子』を書いたといわれる孫武の子孫だ。

田忌はさっそく、救援軍を攻防の渦中である邯鄲に向かわせようとする。ところが孫◎は、こう反対した。

「もつれた糸を解きほぐすときは、むやみに引っ張ったりしないものです。喧嘩の仲立ちにはいるとしても、やみくもに殴りに加わったのでは、何の助けにもなりません。相手の虚に付け込むことで、形勢を有利にすることができるのです。

いま、魏は趙に向けて精鋭部隊をすべて投入し、国元には老弱な兵士しか残っていません。このさい手薄になっている魏の都・大梁を一挙につくべきです。そうすれば、魏は邯鄲の包囲を解いて、自国に引き返さざるを得なくなります。包囲を解かせ、魏軍を疲弊させる――まさに一石二鳥の妙策です」

なるほどと思った田忌は、この策の通りに魏の都に軍を進めた。その知らせを聞いた魏軍は、まっ青になって自国にとって返す。田忌の軍は、それを途中の桂けい陵りょうで迎え撃って大勝利を収めた――。

誰しも、目標達成にのめり込んでしまうと、足もとが疎おろそかになってしまうことがある。そんな足もとこそ、絶妙な狙い目になる、と考えたのがこの謀略の肝に他ならない。


では、こんな考え方を現代に活かした例はあるのだろうか。実は、パソコン業界にうってつけの話があるのだ。

1990年代、各社が様々なパソコンを登場させ、激しい競争を繰り広げるなか、直接販売とユーザーのカスタム注文で躍進したのがデルだった。当然、ライバル企業としては、何とかデルを叩かなければならない。

そこである社が採った手は、サーバ事業で出た利益をパソコンにつぎ込み、安売りを仕掛けることだった。

対してデルは、自社のパソコンを安売りして、この競争に応じる策は採らなかった。ではどうしたのか。デルの創業者マイケル・デルは、こう述懐している。

「1996年9月、デルは新しいサーバー製品シリーズを競争力の非常に強い価格で発売した。市場は爆発的に拡大した」

「サーバー分野でのライバルの利益を削り取ることで、ノートやデスクトップなど、やはりお互いに競合している他分野で彼らが大胆な価格を設定する能力も弱まったのである」(『デルの革命』マイケル・デル?キャサリン・フレッドマン共著?國領二郎監訳?吉川明希訳?日本経済新聞社

デルはこれを「柔よく剛を制する作戦」と呼んでいる。確かに、柔らかい頭で剛強な敵を倒してしまうところに、謀略の神髄はある。