二ビル通信

えげつない問題を勝手気ままに取り上げるブログ


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関税の起源は賄賂だった?


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 国内農業の将来を考える際に、避けては通れないのが関税の問題である。今日は主に中東や欧州の関税史を切開してみたい。

初期の関税のひとつの例として、De Laetは、古代ギリシャの関税をあげ、次のように述べている。

「われわれがギリシャに関して持っている最古の情報は、ホメロスの時代に遡る。この時代に、ある種の原始的な税が、まだ比較的未発達の状態にあった商業に関して課せられた。この原始的な税は、その後の時代の関税と二つの点で異なっている。第一に、この税は従価によって徴収されるものではなかった。つまり、税額は、商品価値の一定%によるものではなかった。第二に、この税は、少なくとも見かけの上では、自由意志によって自発的に支払われた。事実、この税は、外国人商人によって、彼等が商売をしようとする土地の高い地位にある人々に贈物の形で支払われた。商人はこうすることによって、土地の支配者たちの保護、或いは少なくとも好意ある取扱いを期待したのである。

しかしながら、この贈物は、形の上でしか自発的ではなかった。もし仮に、商人が王や王子にこの慣習的贈物をおくりことを怠ったならば、彼等の支配する領地内で商業を営むことを拒否されるか、または、その権利を剥奪されることが予想されたろう。このようなやり方は、ギリシアのみならず、東地中海のすべての地方に広く行きわたっていた。」

この引用文は、ホメロスの時代の原始的な関税について述べたものであるが、当時、東地中海域の商業はまだ未発達で、貨幣もなく、貿易にあたっての価格は牛何頭で表されていた。恐らく、商人も、一部は海賊兼業であったかもしれない。いずれにしても関税は、一般に、このような時代を経て、次第に租税としての形態を整えていったものと思われる。



 以上のような歴史分析を踏まえると、当初は賄賂として登場したものが、国家や領主の手によって徐々に制度化(≒強制化)され、まず手数料へ、そして近代型の租税に変貌していったのが今日の関税らしい。

 この過程で特に注目されるのは、つい最近まで、関税は領主の私的収入という色彩が濃かった点ではないだろうか。これも、関税の起源を賄賂と考えると合点がいく。最近のTPPなどで、関税撤廃に欧米が熱心なのも、あるいは関税を賄賂の一種と考えているからなのかもしれない。