マイカルハミングバード通信

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アメリカで拡がりを見せる都市農業


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事業化を目指そうとしているところなど、今後参考になるかもしれません。

アメリカの都市部に突如ニワトリ小屋が出現し、そのすぐ側にはヤギの小屋、ハチの巣箱まで置かれているという風景が目に付くようになった。庭や空き地に作られた菜園には、ハーブやマメのつる、馴染みの野菜ケールなどがあふれている。

 持続可能な農法に関心を抱く消費者に応え、土地が余っている自治体を助ける新たな都市農業の波が、今各地の都市部で拡がりつつある。その動きが生まれたのは2008年、経済不安に加え、栄養問題、子どもの肥満、糖尿病に懸念を抱いたミシェル・オバマ大統領夫人の訴えがきっかけだった。

「土地が余っているが住む人がいなくて困っていたり、地価が少々安い都市部で、都市農業が急速に拡大している」と話すのは、ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院内にある「住みよい未来センター」(Center for a Livable Future)のアン・パーマー(Ann Palmer)氏だ。

 ボルティモアデトロイトはこうした理由でまさにうってつけの都市だが、高所得者の住む地域でも養蜂や共同菜園が人気を得つつあり、美食家や地元産の食材にこだわる人々が菜園用の土地を求めて順番待ちの状態だという。

 昨年197件の養鶏許可を出したウィスコンシン州マディソンでは、今年に入ってまだ半年の時点で、すでに178件の許可を出している。

 都市農業は当然のことながら、食糧生産を地元でまかない、農作物を輸送する際に使われるエネルギーの消費やその他のコストを抑え、これまで食料が品薄であったいわゆる食の砂漠地域の住民に、より健康的で新鮮な食材を届けることができる。

◆都市に住む人々に健康な食べ物を

 アメリカの首都ワシントンD.C.では、ザ・ディストリクト・オブ・コロンビア大学が市当局と綿密な連携を取り、健康な食材を手に入れやすくし、持続可能な食糧生産ができるよう取り組みを行っている。具体的には、植物を育て、廃棄される植物を堆肥に利用し、その堆肥を使ってさらに植物を育てるというサイクルだ。

 同大学は、ワシントンD.C.郊外メリーランド州ベルツビルにある農務省農業研究センターの近くに10ヘクタールの農地を耕作中で、野菜の育て方や様々な農法を教えていく予定だという。とれた農作物の一部は、D.C.市内の貧困層へ届けるために、チャリティ団体へ寄付される。

◆利益化を目指す

 多くの都市農業は、個人や家族、地域単位、または非営利団体によって運営されているが、ボルティモアにあるビッグ・シティー・ファームズ社はビジネスとして都市農業を広め、いずれは高い利益を上げる企業に成長したいと期待している。同社代表のデイブ・ビッソン(Dave Bisson)氏は、営利企業という形を取ることで、食糧問題に関する知識を一般市民へ伝えるだけでなく、「食料の供給ルートに大きく入り込み、外国や国内の他の地域から入ってくる供給に取って代われるようになりたい」と語る。

 将来的には、完全に従業員所有の企業となり、現在9人いるフルタイムの従業員数も拡大できればと考えている。

「ビッグ・シティー・ファームズは専門知識を提供し、食材は全て地元産のものを買い取り、市場向けに商品として売り出していく方針だ」とビッソン氏は話す。

◆乗り越えるべき障害

 都市農業の妨げとなっている問題の一つに、汚染されたり固くなってしまった土がある。時には、別の場所から土を運んでこなければならない。ジョンズ・ホプキンズ大学のパーマー氏は、野菜を育てる前にその土地の歴史を調べ、土を調べたほうが良いだろうとアドバイスする。長い時間をかけて土作りをした土地は、他の目的にも容易に転用できる可能性もある。

 養鶏に関しては、フィラデルフィア、ロサンゼルス、ダラスなど多くの都市がこれを認めているものの、ニワトリを収容する場所が近隣の建物からどれだけ離れていなければならないか、排泄物をどのように処理するかなどの条例は自治体によって異なる。


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